「廃棄物」とは

ある物が廃棄物に該当するか否かによって、その物を運搬するのに産業廃棄物の許可が必要なのか、それとも貨物運送事業の許可等のその他の営業許可が必要となるのかの判断が分かれますので、そもそも「廃棄物」に該当するか否かの判断基準は重要です。

この点、廃棄物処理法では、「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染されたものを除く)をいうと規定されています。

法律を読む限り、どうやらガスや放射性廃棄物は廃棄物処理法では「廃棄物」として処理されるものではないことはわかりますが、定義としては非常に不明確であるといえます(もっとも、ガスや放射性廃棄物等は廃棄物処理法以外の規制のもと、適切に処理しなければなりません)。

そこで、こうした「廃棄物」の定義は過去に裁判で争いとなったこともあります。

現在では、「廃棄物」に該当するか否かは、その物の性状や排出状況、取引価値、占有者の意思などを総合的に判断して決定するとされています。(「総合判断説」と呼ばれています)

実際の運用

このように、廃棄物か否かの判断は廃棄を取り巻く様々な状況を複合的に判断さざるをえません。そこで、ある物の排出者が自らの解釈によりある物を有価物として取扱うことで、廃棄物処理法の制約を回避することも考えられます。

もちろん、こうした行為は違法行為ではありませんが、その場合であっても担当者個人の独断で判断するのではなく、社内の他部署の意見や専門家の判断も取り入れ、客観的にみて「廃棄物」ではないといえるように十分な検証が必要です。

もっとも、ひとたび廃棄物処理法違反として摘発の対象となった場合には、当該物が「廃棄物」であるかは、最終的に裁判所が判断することになるはずです。その結果やはり「廃棄物」として処理するべきであるとして、廃棄物処理法違反を問われるリスクもあることを考えると、判断に迷うときは「廃棄物」として処理をするのが賢いやり方と言わざるを得ないのが現状です。