産業廃棄物収取運搬業許可取得の5つの要件

産業廃棄物収集運搬業(積み替え保管を除く)の許可を受けるには、5つの要件をすべて満たす必要があります。要件を一つでも満たさない場合には許可を受けることはできませんから、事前にしっかりと要件を確認することが許可取得の近道です。

1.欠格事由に該当しないこと

会社の役員や株主に以下に該当する方がいる場合は注意が必要です。

  • どうやら、過去5年間に逮捕されたことがあるようだ
  • 破産したという噂を耳にした
  • 遠方に居住していて最近疎遠である

法人の役員・株主・顧問・個人事業主・政令6条の10に定める使用人が、欠格事由に該当する場合は許可を受けることができません。許可を取得した後に欠格事由に該当した場合には、許可の取り消し処分を受けます。

欠格事由

  1. 成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者
  2. 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  3. 次に掲げる法令等に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(
    (廃棄物処理法、浄化槽法、大気汚染防止法、騒音規制法、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律、水質汚濁防止法、悪臭防止法、振動規制法、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律、ダイオキシン類対策特別措置法、ポリ塩化ビニフェル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法)
  4. 次に掲げる法律に違反した者(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(第31条第7項を除く。)
  5. 次に掲げる罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(傷害害、現場助勢、暴行、凶器準備集合及び結集、脅迫、背任、暴力行為等処罰に関する法律)
  6. 次に掲げる許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(一般廃棄物収集運搬・処分業の許可の取消し、(特別管理)産業廃棄物収集運搬・処分業の許可の取消し、浄化槽法第41条第2項による許可の取消し)
  7. 法人で暴力団員などがその事業活動を支配するもの
  8. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  9. その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者

なお、許可を受けた後に上記の欠格事由に該当した場合は、許可取り消されてしまいます。取り消される許可は、会社が有するすべての処理業の許可と施設設置の許可です。したがって、欠格事由に該当する場合には事業の遂行が困難になることが予想されますので、会社の役員に欠格事由に該当しそうな方がいる場合は、速やかに役員の職を辞する措置を取りましょう。

2.経理的基礎の要件

以下に該当する場合は、このページをよくご確認ください。

  • 直近3年の決算の中に赤字の年がある
  • 法人税に未納がある

産業廃棄物の収集運搬業を的確かつ継続的に行うことができる経理的基礎を有していることが必要とされています。

経理的基礎の審査項目

  • 決算書の自己資本比率(債務超過の有無)
  • 直前3年間の当期純利益の金額
  • 税金の納付状況

経理的基礎の要件は上記の項目を総合的に判断されます。たとえば、税金に未納がある場合には、絶対に許可は下りないわけではありませんが、追加書類の提出が必要になります(場合によっては、税務署との今後の納税に関する折衝の記録の提出が求められることもあります)。

また、許可の取得に関わらず、税金の滞納を放っておくと、元本には延滞税が加算されていきますので、できる限り元本は完済していく方法を探りましょう

決算報告の内容によっては新規更新を問わず不許可となる場合もありますし、経営改善計画(中小企業診断士や税理士の経営診断書等)を提出することで経理的基礎の要件を満たす場合があります。

決算内容により別途追加する書類

  • 今後5年間の事業改善計画書
  • 中小企業診断士の経営診断書
  • 税理士による経営改善計画書
  • 法人税に未納がある場合には、税務署との納税計画協議書

3.産業廃棄物収集運搬業許可申請に関する講習会を修了

申請者が、産業廃棄物の収集運搬業を的確に行うための知識及び能力が必要とされます。

そのため、 法人の場合は原則的に常勤の取締役が、個人の場合は個人事業主が、財団法人日本産業廃棄物処理センターが実施する産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会を修了することが必要となります。講習会は予約が必要ですので、計画的に受講して下さい。

講習会の受講者

個人で許可を取得する場合には許可申請者本人が、法人の場合には代表者、役員又は政令6条の10に定める使用人(営業を行う区域にある事業場の代表者)が、講習会を受講する必要があります。

講習会の種類

講習会には、新規申請用と更新申請用の区分があり、さらに普通産廃用と特別管理産業廃棄物用に分かれています。適切な講習会を受講しましょう。

講習会の修了証は許可申請の際に必要となりますが、講習会を受講してから修了証が届くまで3週間程度かかりますのでご注意ください。

講習会の修了証

講習会の最後に行われるテストに合格しなければ修了証は受けられません。70%の正当が必要ですので、講義中に講師からラインマーカーを引くように指示された箇所を重点的に記憶しましょう。

なお、新規許可申請の場合には「申請日」の時点で有効な修了証が必要です。他方、更新許可申請の場合は「許可の有効期限日」に有効な修了証が必要です。

講習を修了した役員が退職した場合

即廃業とはなりませんが、行政庁では、速やかに講習会の修了者を補填する措置を取るように指導しています。

4.運搬施設の要件

産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬容器等の運搬施設を有することが必要です。

車両の使用権原

次の2点を満たす必要があります。

  1. 車検証の「使用者」と許可の申請者が一致していること。
  2. 「使用者」が空欄の場合は、「所有者」と申請者が一致していること。

以上より、レンタカーや建機リース会社からのリース車両については、車検証の使用者欄の表示を自社に変更することができないのが一般的ですので、産業廃棄物の収集運搬車両として登録することはできないと考えられます。

ディーゼル車規制

東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県等の自治体では、PM(粒子状物質)の排出規制が行われています。車両が条件を満たさない場合には、買い替えまたは粒子状物質減少装置(DPF)を装着しなければなりません。

土砂等禁止車

車検証の備考欄に、土砂等禁止車と記載がある場合には、汚泥、ガラスくず・コンクリートくず、陶磁器くず、がれき類の運搬はできません。

車両の表示義務

運搬車両には、産業廃棄物運搬車両である旨の表示が必要です。

運搬車両の表示

  1. 産業廃棄物収集運搬車
  2. 許可業者の氏名または名称
  3. 統一許可番号(下6桁は全国共通番号)

さらに、運搬車両には書面の備付義務があります。

運搬車両に備え付ける書類

  1. 産業廃棄物収取運搬業許可証のコピー
  2. マニュフェスト

駐車場の使用権原

自社(自己)所有の場合:土地の登記事項証明書

賃貸の場合:賃貸借契約書(栃木県では、土地の登記事項証明書も必要)

運搬容器の具体例

運搬容器 産業廃棄物
ドラム缶 燃え殻、汚泥、廃油、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、ゴムくず、金属くず、ガラスくず等、鉱さい、がれき類、ばいじん
プラスチック容器 廃酸、廃アルカリ
石油缶・一斗缶 廃油
フレキシブル・コンテナ 燃え殻、汚泥、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、ゴムくず、ガラスくず等、鉱さい、がれき類、ばいじん、石綿含有廃棄物
大型コンテナ 燃え殻、汚泥、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、ゴムくず、金属くず、ガラスくず等、がれき類、ばいじん
感染性廃棄物専用容器 感染性廃棄物

事業計画の要件

産業廃棄物収集運搬業の事業計画を作成し、その内容が計画的に実施され、適法であり、業務量に応じた施設や人員などの業務遂行体制を整えていることが必要となります。